茜色の空、

あの中に飛び込んで、

泳いで、

深く潜って、

空気を吐きだして、

溺れたい






・・・茜空ダイビング・・・






















「明日はきっと、晴れだよ」



その人は燃えるように赤い空を見上げて笑った。根拠のない言葉。
だけど、いつも私はそういうのを期待してる。
だってほんのすこしだけ辛いことから逃げ出せるから。




「何、その当てのない感じ」


笑ってみせた。
ジェノバとか戦争とか考えたくない。どうせなら、この人みたく、
明日のことを脳天気に考えていたい。




「ユフィ、悲しいの?」


オレンジ色の空を見上げながら、その人は言った。
馬鹿みたい。
ていうか、どう して心の中が判る訳?



「.....どうして」



「いつも....悲しそうだから」

一瞬、ギクリとした。


「何、言ってんの、ホント」


「....ユフィ、泣きたい時、泣けないの、辛いよ」



お願いだから、そんな風に言わないでよ。



「.....ホントに、勘弁してよ」


身体も心が震える、嫌だ、あたしじゃないみたい。
あたしは弱くない、だって今まで一人で、独りで生きてきた。親父がなんと言おう
とも、あたしはウータイのために、闘うって決めた。
大事な大事な故郷を守る為に。


「無理しちゃ、駄目」



その人は振り向いた。何その笑顔、酷い、そういう風に笑うのってずるい。
で視界が滲む。溢れて出ていくあたしの水分。こんなにいっぱい出るなんて嘘みたい。



「....ユフィは優しいから、いろんなこと、かかえちゃうんだよ」


「違うよ、エアリス」



「でも、それがあなたの魅力」


どこが?
あたしは何時あんた達の寝首を掻くかわからないのに、どうしてそんなに優しいこと
を言うの?


「エアリスなんて.....大っ嫌い」


「いいよ、大嫌いでも、私はユフィのこと、大好きだから」


嘘、ホントは大好き。気付いてよ。


「.....だいっきらい」



天の邪鬼なあたしに怒ってよ、あたしにかまってよ。

言えない事、ホントはエアリスのこと、『オカアサン』って、そう言いそうになったんだよ。




「うん」




優しいオカアサン、大好なトモダチ、あたしを支えて。





「明日は晴れだよ、ユフィ」



暖かい手のひらがあたしの頭の上に。撫で回されると不思議、落ち着く。



「きっと...そうだよ」




勘のいいあなたはいつもお節介。
だから、『傍にいて』なんて恥ずかしくて言えない。

























「明日はきっと、晴れだよ」










燃えるような空から、その人は砂のように掻き消えた。
残像の一つも残っていない、「オワカレ」。


代わりにあるのは、「空からの災厄」。日ごとに近づき、空を覆っていく。
黒く燃える空の向こうに、あなたが願った空が隠れている。






「明日は晴れだよ、エアリス」







あたし達が晴れにするから、悲しくならないで。







「ユフィ、行くぞ」

 

「わかってるってっ!」




 


だから、あの澄み切った夕空をもう一度




























おわり。

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ヤンデレのユフィとエアリスの話。
きっとユフィはエアリスにべったりだったろうなという妄想設定の産物。
最期の人が誰かはご想像にお任せします。